相続人はどうやって決まるのか?
被相続人が亡くなって、その遺産や権利を相続する相続人が誰なのかを確定させるためにしなければならないことは何でしょうか。
まず、被相続人が「遺言書」を書き残していないかどうかを確認します。
被相続人が遺言書を書き残しており、そこに「〇〇の財産を△△に相続させる」とか「全財産を△△と▼▼に半分ずつ相続させる」というように、財産の分け方を指定する記載がある場合、原則的に(※)その記載の通りに相続人が確定します。
これは、後述する法定相続人ではない人に対して「相続させる」となっていても、有効です。(ただし、これは正しくは「遺贈(いぞう)」と言います)
※遺留分権利者が遺留分減殺請求をした場合、遺言書通りに相続することはできない場合があります。遺留分については記事を改めて解説します。
遺言書がない場合、第一次的には「法定相続人」が、「法定相続分」通りに遺産を相続します。
法定相続人とは、文字通り法によりあらかじめ定められた相続人です。
法定相続分とは、同じく法によりあらかじめ定められた、遺産を相続する割合です。
(→法定相続人と法定相続分は?)
法定相続分通りで相続すると、不都合が発生します。
それは、“各財産がそれぞれに法定相続人全員の共有になる”ということです。
例えば、遺産の中に全く同価値の不動産が3つあったとして、それを法定相続分の等しい相続人3人で相続するという場合、一見、それぞれが1つずつ不動産を相続するように見えますが、そうではなく、3つの不動産全てがそれぞれ3人の共有になるということです。
これは現金(預貯金とは違います)でも同じで、300万円の現金があったとしても、自動的に100万円ずつ取得するのではなく、300万円全てが3人の共有ということになります。
つまり、このような場合、相続人はそれぞれ単独ではその共有状態の財産を処分することができないことになります。
この不都合を解消するために必要なのが、遺産分割協議です。
遺言書がない場合、上記のような不都合を回避するため実務上はほぼ確実に遺産分割協議が行われます。
遺産分割協議は、法定相続人全員によって行われる必要があり、そうでない場合は協議自体が無効となります。
そのため、遺産分割協議を行うにしてもその前提として法定相続人を確認する必要があるのです。
上記の例で3人の相続人が不動産を1つずつ相続しようとする場合や、300万円を100万円ずつで分けようとする場合、遺産分割協議を行って初めてそのように分けることができます。
また、遺産分割協議は法定相続人全員の同意によって成立するため、法定相続分とは違う割合で分割することも当然できます。
1人だけが遺産の全てを相続するという合意をすることもできます。
遺産の全てについて遺産分割協議が成立したら、遺産分割協議書を作成し全員が署名捺印することで、遺産の行方が最終的に確定することになります。
まとめ
誰がどのように遺産を相続するかを確定させるには、
- 遺言書の有無を確認する
- 法定相続人を確認する
- 遺産分割協議を行う
という手続きが必要になります。
なお、これら全ての手続きについて、司法書士にご依頼いただければ、助言、協議書作成等、いたします。
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