岡山市南区の司法書士堀川雄史が解説

相続放棄とは?

相続放棄とは?

 

親族の方が亡くなって自分が相続人になった時に、自分が相続しないための選択肢として相続放棄があります。
具体的に相続放棄とは、何でしょうか。

 

法令に規定されている「相続放棄」

法律家でない方でも相続放棄という言葉を聞いたり使ったりしたことのある方がいらっしゃるかもしれませんが、一般の方が言う「相続放棄」と法律家が言う「相続放棄」とでは、その意味にズレがある場合があります。

 

民法には以下のように規定されています。

 

【第938条】
相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
【第939条】
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

 

このように、法令で言う相続放棄は、家庭裁判所での手続きを要するものであり、初めから相続人とならなかったものとみなされる強力な効果を持ちます。

 

一般の方の中には、単に「私は遺産はいらない」と他の相続人に伝えただけなのを「相続放棄をした」と表現される方もいらっしゃいますが、我々法律家も、そういう方々がいらっしゃることを承知していますので、どちらの意味なのか必ず確認するようにしています。

 

「初めから相続人とならなかったものとみなす」とは?

相続人は、被相続人が有していた財産のみならず、法的な地位(一部を除く)や債権、負債も承継します。
正式に家庭裁判所に相続放棄の申述をして受理されると、その相続人はそれら全てを承継しないということになります。

 

この効果は強力なのですが、わかりやすく負債を例にしてご説明します。

 

負債は、相続が開始する(被相続人が亡くなる)と、遺産分割協議を待たずに法定相続分どおりに分割されて各相続人に帰属します。
つまり、被相続人が900万円の借金を抱えたまま亡くなり相続人が子3人だったとすると、3人はそれぞれ300万円の返済義務を負うことになります。

 

遺産分割協議により負債を誰か1人が全て承継すると決めることもできますが、承継しないことにした人も債務者の相続人であるということには変わりないので、この遺産分割協議により債権者に対抗する(「私は負債を承継していないので返済する義務はありません」と主張する)ためには、債権者の承諾が必要です。

 

しかし相続放棄をすると、初めから相続人とならなかったものとみなされるため、債権者の承諾に関係なく当然に返済義務を負いません。
というより、そもそも遺産分割協議に参加する資格すらありません。

 

初めから法定相続人でない人と同様の立場になるのが、相続放棄なのです。
(ただし、戸籍謄抄本に相続放棄をした旨が記載されたりはしないため、実際に相続した人が諸々の相続手続きをする際には、家庭裁判所から取得する「相続放棄申述受理証明書」を添付することになります)

 

相続放棄をするには?

相続放棄は各相続人が単独で行いますので、相続人全員で揃って行う必要はありません。
子3人が法定相続人のときに、その内の1人が相続放棄をした場合、初めから法定相続人が2人であったものとみなされるため、その2人が各2分の1という法定相続分で相続することになります。

 

前述のとおり、相続放棄をするには家庭裁判所に申述する必要がありますが、期限があります。
被相続人が亡くなり、自分が相続人となったことを知った時から3ヶ月以内です。

 

「自分が相続人となったことを知った時」というのは、先順位の相続人(相続人の順位についてはこちら→法定相続人と法定相続分は?)がいないことを知った時や、自分が実は被相続人の兄弟であったことが判明した時などが想定されており、法律の知識が無いために誰が相続人となるのかを知らなかったというのは、3ヶ月という期間が始まらない理由になりません。

 

なお、相続放棄をするか否かの判断や申述手続きの前提となる相続財産の調査に時間がかかる場合などは、家庭裁判所に申し立てることによって3ヶ月の期限を伸長してもらうことができます。

 

まとめ

被相続人の財産を自分が相続しない方法には、遺産分割協議と相続放棄があります。

 

遺産も債権も負債も一切相続せず、そのことについて誰にも文句を言わせないようにするためには、正式に家庭裁判所の手続きを経る必要があります。

 

家庭裁判所に提出する相続放棄申述書の作成は、司法書士の業務範囲です。
お気軽にお問合せください。

 

 

 

 
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